お盆っつーても、
「ばかあん、お盆が抜けてらぁ」
じゃないよ。
あのね、昨日は朝から何も食べてなくて、
夕方、ちょうど把瑠都と稀勢の里の取り組みの時位にご飯食べに入ったの
しかも行こうとしたお店が閉まっていたから、あぁぁ、もう、ここでいいや!
って感じで
中華屋さん
まあ汚かったね、
でも平気なの、そんなのは、
食器が汚くなければね、平気なの。
入ったら、おじさんが店の奥の
「お客が居ない時は俺の部屋へと早替わり!なんつって!」
なんて言いながら腰掛けてるに違いないと思わせる様な生活感のあるテーブルに居て。
いらっしゃい、決まったらおっしゃって下さいねと言いながら近づいてきました。
どうぞどうぞと、謎のお盆が一膳置かれたテーブルに座らされました。
まあ、汚いのよそのお盆が!
丸い輪っかが模様じゃないのにたくさんあるの
しかも四人席テーブルに全て、一膳しか置かれてないんだけど、全部汚いのよ。
全部のお盆に丸い輪っかがあるのです
で、おじさんは付かず離れず
「はい、決まったらおっしゃって下さいね」
を連発するので、
「ああ、えーっと、じゃあ今日のお勧め焼肉定食で」と言うと
おじさんは「焼き肉定食、六百円のやつ〜!」
と大きな声でいいました
そして誰もいない厨房に入りかけたところで、
「あっ、ただの醤油と、生姜と、ニンニク生姜とどれがいい?」
と、桑マンとしゃべっている時の志村けんさんみたいな顔で聞いてきました。
お勧めを三種類から選べるなんて、親切ぅぅぅ〜!などとは微塵も思わずに
ニンニク生姜にしたんですけどね。
把瑠都が立ち会い変わって
ブーイングを受けている頃
私は
「あっ、そうか」「まあ、いいや」
「あつっ、畜生」などと言う
おじさんの独り言に心を弾ませつつ焼き肉定食を待つのでした。
「はい、お待ちどう様」
手には刻んだキャベツの上に焼き肉(豚)が乗ったお皿を持っています。
そして、そのお皿を私の前のお盆に乗せました、ああ乗せました、新たな輪っかをつける為に!
そしておじさんは一品づつ新たな輪っかの製造主を運んで来るのです、お盆の上に。
並んだ焼き肉、ライス、豚汁、漬物がないからとポテトサラダ、さっきの「まあ、いいや」は、これだと思われる
そして、おじさんが
「これサービス、食べて、俺が作った酢の物」
だって!
そらそうやろ!
他に誰が作るんじゃ!
まあ、おかみさんかも知れませんけど、
って突っ込みはいれずに、
ああああ、こんな楽しい食事は久しぶりだなあとワクワクしていたら。
来ました!
とどめの一撃が!
びちょ濡れの手で
「はい、箸お待ちどお様」って剥き身の箸を渡されました。
うーん…箸かぁ、お店の汚なさにつられて箸も汚く見えたらお終いだと思い、勢いよく割ろうとしたら…真ん中辺がなんか柔らかい…けど、ええい、ままよと箸を割り豚汁に口を伸ばそうとしたら、あっついのなんのって!
そうかさっきの「あつっ、畜生」は、これか!とか、
豚の焼き肉、さっき生姜味にしてたら豚の生姜焼きじゃないのかな?
とか
いろんな事を考えながら頂きました。
ご馳走様と店を出て、ふと思い出し店を覗くと、おじさんは重ねた食器を洗い場に運んでいました、テーブルの上には一膳のお盆が乗せたままになっていました。
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